大室山火山博士になろう!
伊豆半島ジオパーク冒険団「大室山火山博士になろう!」に参加しました。
小雨混じりであいにくのお天気・・・雨男さんは誰~???
受付を済ませると、スケッチブックとクレヨンが手渡されました。
案内板の前で伊豆半島の成り立ちや大室山のお話を聞き、ロゲイニングのルール説明がありました。
今回はロゲイニング方式で(通称:ジオロゲ)でジオパークを勉強していきます。
チェックポイントに出題された課題を自分なりに絵や文字で表現し、得点を競っていくゲーム感覚で楽しむ野外学習。 とはいっても、通常は数名で協力し合いながらグループ対抗で進めていく形のようですが、参加者が少なかったため個人戦となりました。
画用紙片手にクレヨンを持つの何年ぶり?不安を抱えながらも、山頂へ向かいました。
山頂は風も強く寒いっ!
まだ9月なのに、かじかむ手をこすり合わせて1番目のチェックポイントに到着。
辺りを状況を確認しながら、早速メモメモ。
2番目のチェックポイントでは、親子で参加のお二人が写真を撮ったり絵を描いたりしていました。
ここではガイドの田畑さんから、伊東市内にある数々の火山のことやフィリピン海プレートの動きや地形について学びました。
またガイドの平野さんからは、やまたてのお話も聞くことができました。
海上から大室山を目印にして漁場を定めていたんですね。
3番目のチェックポイントは、八ヶ岳地蔵尊。
海上安全・海難防除・大漁祈願のため漁師さんが建てたもので、海に向いています。
4番目のチェックポイントでは、ガイドの浅田さんから側火山火口や大室出しなどについて学びました。
残念ながら、伊豆七島は雲に覆われて確認できませんでした。
翌日も大室山に上ったのですが、晴れているとこんなにも景色が違うんですよ。
蝶々もお出迎えしてくれました。
山頂の遊歩道も整備され、歩きやすくなりますね。
5番目のチェックポイントはロープの中だったので、スルーしてしまいました。
でも気になっていたので、翌日確認をしに行ってきました。探せて良かった!
6番目のチェックポイントはガイドの山口さんから、天城山や周囲の山々・池盆地や採石場についてなどを学びました。
大室山が噴火した時、南側に流れ出した溶岩が川をせき止め大きな池ができたそうです。
明治時代の初めに、トンネルを掘り水抜きをして緑豊かな素晴らしい池集落ができました。
この写真は、翌日に撮影したものです。
すすきも強風になびいています。
山頂で風よけもなく吹きさらしの中、最後のチェックポイントではガイドの木村さんがスタンバイ。
五智如来について、5体ひとつひとつの違いや良質の真鶴石を使った石仏を担ぎ上げた富戸の強力兄弟のお話、また山焼きの意味や富士山についても学びました。寒さを吹き飛ばすような熱弁でした。
大室山は、安産の神様としても崇められています。
山頂では、様々な植物も観察できます。
ナンバンギセル。
タムラソウにフジバカマ。
翌日はアーチェリー場も賑わっていました。
奥に見える木は、カバノキ科ハンノキ属の落葉高木のオオバヤシャブシです。
山頂から麓へ移動。風がない分、温かく感じます。
白線を引いたようなところが、838年に噴火した神津島の火山灰です。
一部の箇所では、二本の線が確認できました。どちらも神津島の火山灰?
火山灰の下には、大室山のスコリアも見ることができます。
場所をさくらの里に移動してランチタイム。
午後は、さくらの里周辺を回ります。
コーラをつかった噴火実験。
本物のマグマの温度は1000度くらいあるのでマグマを観察することはできませんが、コーラの実験なら間近で観察が可能です。
スコリアには火山ガスが抜けた気泡がたくさんあるので、コーラに沈めるともこもことあわが吹き出し噴火の様子が再現できるんです。
このようにマグマが低い方へと流れていき、城ヶ崎海岸が形成されたんですね。
続いて向かったのは、チェックポイントの穴の原溶岩洞穴。ガイドは山口さんです。
今は15mくらい続く溶岩トンネル。大室山の大蛇穴です。ここ場所でも大室山の溶岩を確認できます。
その昔、大蛇を退治したという伝説も残されています。
神社の白い紙のような実がつく赤シデ。成長が早いそうです。
神様の名を持つ日本唯一の木が、このヤマモモ。
意富加牟豆美命(おおかむづみのみこと)。
良質のクエン酸を含む赤く甘酸っぱい実は、ジャムやジュースにもなります。
病気予防や邪気を払ってくれると聞いて、幹に手を置きそのパワーをいただきました。
この辺りには、なにやら怪しいキノコがたくさん生えてます。絶対に口にしてはダメですよ。
ルーペで観察しているのはサカキの葉。
鋸歯がなく常に美しい姿のサカキは、神と人との境界にあることから「境木」。
常緑樹なので、さかえることから「繁木」とも言われるそうです。
ここでは、照葉樹林の大切な役目について、いろいろと学びました。
でも、植物はなかなか覚えられない・・・。
次のチェックポイントは、ジオの案内板前。ガイドは、田畑さんと山口さん。
スコリア丘は、粘り気の弱い溶岩のしぶき(スコリア)などが火口の周辺に降り積もってできました。
ここでは大室山の成り立ちや山肌の安息角度や溶岩のしぶきの角度についても学びました。
砂時計でできる山の形が、大室山の形になるんですよ。
余談になりますが、風紋が美しい鳥取砂丘。
ここの斜面も、安息角度の約30度を示しています。
鳥取砂丘は、夜景も綺麗でした~。
そして、このスコリアラフトもチェックポイント。ガイドは、平野さんです。
図説を交えながら、溶岩に覆われた面やスコリアがむき出しになっている面など様々な角度から見学をしました。
スコリアラフトに生えている桜は、ど根性桜と呼んでいるそうです。
さくらの里西側の歩道沿いに、地層を確認できる場所があります。
ここもチェックポイント。ガイドは木村さんで、地層について学びました。
6kmくらい西にある岩ノ山が約2700年前の噴火でたまったスコリア層、その下には約3200年前に噴火でたまったカワゴ平の白い軽石混じりの地層、その下には大室山の噴火でたまったスコリア層をみることができます。
岩ノ山から台ノ山まで、約4kmの断層があるそうです。
タブの木の前が、最後のチェックポイント。
樹齢数百年とも言われるタブの巨木は、約10t~15tの水を幹に蓄えているそうです。
水分は常に葉から蒸発しているので、豊富な地中水を吸い上げているんですね。
森林療法として、人を落ち着かせる作用があるそうです。
確かにここにいると、リラックスできますね。植物って、素晴らしい!
森のはたらきは、クイズ形式で学びました。
山があるから海が恵まれる。なるほど、わかりやすい!
真っ赤に熟した種を持つホウの実。
蜜腺を持つ桜の葉は、自らが甘い蜜を出してアリを寄せ付け昆虫の食害から身を守るという。
全ての課題にチャレンジし、見事優勝することができましたv^^v
目にしたものや聞いたことを自分で書き記していくと、ただ聞くだけより楽しく学べることを実感しました!
大室山は単成火山だから同じ火口からは2度と噴火をしない火山ですが、伊豆半島東部に集中している「伊豆東部火山群」は噴火の可能性があるそうです。噴火の予測は極めて難しいようですが、予兆らしきものがあったら教えてもらいたいですね。
機会があれば、是非また参加したいと思います。
ジオガイドの先生方、ありがとうございました。